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健康診断で尿の異常を指摘された場合だけでなく、頻尿、夜間頻尿、尿失禁、膀胱炎、尿道炎、腎盂腎炎、前立腺炎、精巣上体炎、骨盤疼痛症候群、前立腺肥大症、過活動膀胱、神経因性膀胱、尿路結石(腎結石、尿管結石、膀胱結石など)、陰嚢水腫、性行為感染症(クラミジア感染症、淋菌感染症、尖圭コンジローマなど)、腎細胞がん、膀胱がん、前立腺がん、精巣腫瘍などの疾患は泌尿器科の領域で扱いますので、お悩みの方はご相談ください。
前立腺肥大症
夜間頻尿と夜間多尿の鑑別には注意が必要です。夜間の尿量が1日尿量の1/3をこえたら、多尿による頻尿と言えます。これは排尿日誌をつけることでわかりますので、水分やアルコールを摂取する時間帯、睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群に注意しましょう。また心不全になったり腎機能が衰えてくることでも多尿傾向となります。
生薬(セルニルトン、エビプロスタット)
・漢方薬(八味地黄丸、牛車腎気など)
αブロッカー
(ハルナール、フリバス、ユリーフ)
ホルモン製剤(プロスタール、パーセリン)
5α還元酵素阻害剤 アボルブ
PDE-5阻害剤 ザルティア
肥大が大きい場合には、アボルブの投与によって半年で約3割程度の前立腺の縮小が認められます。αブロッカーの副作用として、排尿が良くなる一方で射精障害を起こす場合があるため、薬剤の選択と投与の加減には経験が必要です。
手術となる場合基本的には内視鏡で行い、開腹することははまれです。
頻 尿
《男性の場合》
前立腺炎・前立腺肥大症・尿道狭窄・脳梗塞後の膀胱の神経障害(神経因性膀胱)・過活動膀胱・心因性頻尿・認知症など《女性の場合》
膀胱炎・過活動膀胱・神経因性膀胱・心因性頻尿など残尿があるか否か(正常は50ml以下、超音波でチェックできます)、多尿(水分の取りすぎによる尿量増加)の可能性はないか、膿尿(尿の細菌感染)の有無、糖尿病、骨盤内手術や脳卒中の既往歴がないかをチェックし、ストレスなど心理的な要因も含めて診断いたします。
心因性頻尿
また、パニック障害や強迫障害の症状が頻尿という形で出ている可能性も考えられます。治療としては、認知行動療法や抗不安薬、頻尿改善剤の投与で対応いたします。
前立腺炎
《急性(細菌性)前立腺炎》
多くの場合、大腸菌などの細菌による感染で炎症をおこし、38℃以上の高熱や強い排尿痛や残尿感、頻尿症状、全身倦怠感を発症する急性前立腺炎。抗菌薬の点滴や内服薬で炎症が治まれば通院治療も可能ですが、こじれると敗血症を起こすため入院が必要です。突然の発熱があり、患者さんが排尿症状を訴えないと風邪と判断がつきにくいこともあるため、侮れない疾患と言えます。《慢性前立腺炎/慢性骨盤疼痛症候群(CP/CPPS)》
20~40代の方が多く発症するのですが、原因の判別が難しく専門医の間でも議論の多い疾患です。細菌が証明されないことも多く、ウイルスやクラミジアが原因の場合があるほか、 長距離ドライバーや長時間座りっぱなしの事務職の方に多いことから骨盤内の血液のうっ滞なども要因とされています。また潜在的な排尿障害が原因ということも考えられます。比較的軽いかつ慢性的な会陰部(陰嚢と肛門の間)不快感、下腹部や太もも内側の鈍い痛み、頻尿、排尿痛、残尿感、排尿後のチクッとした尿道痛、射精痛・精液に血が混じるなど様々な症状が現れますが、急性型のようなわかりやすい症状はなく、これらの症状がその日によって改善したり、悪化したりと波があります。
薬物の投与を中心に治療を行いますが、改善には生活習慣の見直しも必要です(アルコール摂取や疲労・ストレスの蓄積)。
症状が改善するまでは数か月かかることも多く、再発しやすいため、あちこちの泌尿器科を受診される患者さんも多く、医者泣かせの疾患と言えます。
前立腺がんとPSA値
進行が遅く、がん特有の症状がないため、がんが大きくなって膀胱や尿道を圧迫し、排尿トラブルが起きるまで気づきにくいのが特徴です。
進行すると骨やリンパ節に転移しやすく、下半身麻痺などの症状が現れることも稀にあります。
年齢や前立腺の大きさによって解釈は異なりますが、一般に4.0ng/ml以下であれば正常、4〜10未満でグレイゾーン、10を超えるとがんの確率が50〜80%とされています。
数値が1回だけ高くても過度に心配する必要はなく、データの推移を見ることが大切です。疑わしい場合には、生検を行い確定診断をいたします。
PSA検査は手軽に行える血液検査で、前立腺がんを見つける手段として有効です。
50歳を過ぎたら1年に1回程度、定期的に検診を受けることをおすすめいたします。
遺伝的な傾向が強いがんのため、身内に前立腺がんになった方がいる場合、若年で発症する可能性も指摘されています。身内に罹患された方がいる場合は40歳を過ぎたら検査を受けてみた方が良いでしょう。
結 石
結石の約8割はシュウ酸カルシウムという成分でできていて単純X線写真に写りますが、尿酸結石は写りません。結石が腎臓にある場合はかなり大きくなっても痛みはなく、石が尿管に落ちて来た際に尿の流れが悪くなって、激痛を伴います。
治療手段としては、石のサイズが5mm以下で、痛みのコントロールができる場合には自然に排出されるのを待ちます。しかし、それ以上の大きさで約6週間以上出てこない場合には、腎臓のはれ(水腎症)が続いて尿が作られなくなってくるため、最終的に腎臓が機能しなくなります。その場合痛みもなくなりますので、結石が見つかった場合には排石されるまで経過を見る必要があります。排石されない場合には、体外衝撃波砕石術や内視鏡的砕石術を行います。
結石は尿の成分が固まってできるので、水分摂取を心がけ1日尿量を1.5から2リットル程度を確保しましょう。
カルシウム不足を避けましょう(カルシウムは食物中のシュウ酸と結合し、便として排泄されます。)
不妊症
男性は泌尿器科的に検査を行い、異常がないか調べます。
男性不妊外来は自由診療となります。